「二酸化炭素吸収量を増加させる」には以下の方法が有効である、との誤解がウェブ上に氾濫している。しかし、それは事実ではなく、どの国でも推奨されていない。京都議定書に関係した取り決めから誤解が生じているようなので、別に説明する。 A. 森林を若返らせる B. 森林を間伐する C. 天然林を人工林に転換する
A. 森林を若返らせる 「若い森林は吸収量が多い」とか、「成熟した森林は収支が0になり、それ以上は吸収しない」というのは事実である。下図に模式化した成長曲線を示す。
B. 森林を間伐する 森林の間伐とは、面積あたりの葉量を減らすことである。図3.の曲線Aの左にあるピークに近い位置から左下に戻すことにあたる。当然、総蓄積量と年間成長量の両方が減少する。「成長が速くなる」ことは決してない。増えるのは、残された個体の成長量と林分成長速度の増加率である。 造林学の教科書に書いてあるように、間伐とは林分全体の成長量をより少ない個体数に再配分して、残した個体の成長量を増やす手段である。それは、林分全体の成長量とのトレードオフでもある。だから、バイオマス生産のための森林施業では間伐を行わない。
(出典) IPCC, 2013: Climate Change 2013: The Physical Science Basis. Contribution of Working Group I to the Fifth Assessment Report of the Intergovernmental Panel on Climate Change [Stocker, T.F., D. Qin, G.-K. Plattner, M. Tignor, S.K. Allen, J. Boschung, A. Nauels, Y. Xia, V. Bex and P.M. Midgley (eds.)]. Cambridge University Press, Cambridge, United Kingdom and New York, NY, USA, 1535 pp. p.470の6.1.1.1 & 6.1.2.1 Carbon Dioxide and the Global Carbon Cycle あたりを参照。