スイセンの園芸品種を追加

遅きに失したが、スイセンの園芸品種を追加した。実のところ、園芸品種名はよく分からない。野生種は系統立てに従った分類と命名が行われている(はず)のだが、交配を繰り返して育成された園芸(栽培)品種は、系統やランクが決め難いので、属のレベルで栽培品種名の “Fancy name” が付けられている。栽培品種の基になった野生種や古くから存在する栽培品種には一般の命名規約に従った名が付けられている。新しい栽培品種は栽培植物の命名規約や種苗法による品種登録の名があり、種-亜種-変種-品種といったランク付けが必要ない。

ラッパズイセンの品種「エンペラー」Narcissus ‘Emperor’

改正新版 日本の野生植物 5、全巻刊行

本日、「改正新版 日本の野生植物 5」が、突然届いた。2015年12月に第1巻、2か月毎に刊行されるはずで、全巻の代金を先払いしていたので一安心。
 最終巻は見るからに厚く、本文が428頁、284図版となっている。ちなみに、第4巻は320頁、256図版だから、本文で3割、図版で1割増量というところ。
 総索引が付いたのは有り難いが、該当巻に手が伸びるのが一番。APG配列の新版では、それができないのが悔しい。

改正新版 日本の野生植物 第5巻と索引

20名以上の分担執筆で1年遅れというのは良い方だろう。私が関係したもので、最終稿が受理されたのが何年前だったか、思い出せないものがあるくらいだ。

日本の野生植物 新版(左)と旧版。 旧版の方が幅が広い?

早速、広島の植物ノート 本編の “包括的な参考文献” に追加した。この頁を見ると “Flora of Japan” シリーズの未刊分(単子葉類)が気になる。

(2017-10-10の再掲載)
「新版 日本の野生植物5」 の刊行を受けて、見直しを進める。最初にヒルガオ科の見直しを行なったが、大きな変更はない。科索引の配列順序が「米倉浩司(2013)維管束植物分類表」と異なっている個所(目内の科の順序)があるので「新野生1~5」に合わせた。
 APG配列は未だ身についていないので、どの巻を引き出すかが分からない。総索引が付属したが、索引を引いて巻を探すのは二重手間。そこで、科の索引に、新版の巻の区切りを入れた。良いアイデアと自画自賛している。
 エングラー配列の方は慣れているはずだが、念のために、こちらにも図鑑の区切りを入れた。ただし、保育社の「原色図鑑」と平凡社の「野生植物」では並び順が逆であるため、上下の矢印で適用方向を示した。また、木本編の区切り位置が異なる問題も少しは解消できた。

(2017-12-27の再掲載)
「新野生5」に従って、オオバコ科まで見直しを行った。Flora of Japan (~2006) と比べて、分類単位の取り扱いが異なるものが多いようだ。「新野生5」の見解を取り入れながら、分布の範囲、地理表現の修正を行った。

改正新版 日本の野生植物 4

(2017-03-15 の再掲載)
この1ヶ月のバタバタ状態が一息ついたところ、「改正新版 日本の野生植物 4」が前触れなく届いた。

本来ならば、昨夏に刊行されるはず、待たされた!
 4巻は、アオイ科からキョウチクトウ科まで。これに従って、広島の植物ノート本編の見直しを始める。種類が多く、図版が10頁を超えるのは、アオイ科、アブラナ科、タデ科、ナデシコ科、ヒユ科、アジサイ科、ツツジ科、アカネ科、リンドウ科、キョウチクトウ科であった。どれも、私は良く知らないので助かる。ただ、旧版に比べて、写真の大きさが小さくなっている。より多くの種を詰め込んだから、やむを得ないのだろう。この巻の税別定価22,000円は高い。とは言え、写真を大きくして、巻数が増えるともっと困る。

改正新版 日本の野生植物3

(2016-09-25 )
本来は4月下旬に刊行されているはずだった第3巻が、午前中に届いた。バラ目の残りバラ科、ブナ目からムクロジ目まで。APGⅣ分類体系をも考慮したということであるが、実質的な変更はほとんどない。

APGⅢへの対応で変えざるを得なかった科の和名について、ペンタフィラクス科としていたPentaphylacaceae をサカキ科、ガリア科としていたGarryaceae をアオキ科としたことが明記されている。今後は、本サイトもそのようにする。第2巻までの対応が一段落したばかりだったので、良いタイミングであった。
 今後は、改正新版を基に、本編の手直しを行う。普通に栽培されている種、定着した外来植物も含めて記述されているため、より実用的な図鑑になっている。

幾つか気になる点を挙げると、ブナ科の果実が「堅果」とされていた。第1巻の感想で述べたとおり、巻頭の用語図解に合わせたのであろうが、現行の学術用語集とは異なっている。90頁の「堅果」はacornであり、nutではない。
 オトギリソウ科のコケオトギリについて、「Flora of Japan 2a」(N.K.B.Robson, 2006)で、ヒメオトギリと同種で「Variant」とされたものが、旧版と同様に別種とされ、Robsonの見解については全く言及されていない。The Plant List では Flora of Japan 2a の見解が採用されているので、説明が欲しいところである。
 フウロソウ科のヒメフウロについて、産地に広島県が加えられた他、「北海道と本州の各地で栽培品が逸出・帰化している」と明記されている。

日本の野生植物の改訂新版

現在の日本の標準的な図鑑となっている平凡社の「日本の野生植物」が新シリーズとして改訂され、第1巻が昨年の12月に刊行された。順調にいけば、本年中に全5が刊行されるとのこと。

改訂新版では、樹木編と草本編の区別がなくなり、APGⅢ分類体系で配列されている。という訳で、第1巻はソテツ科からカヤツリグサ科まで。旧版と異なる点は、南西諸島(旧版は沖縄が不十分だった)と小笠原諸島の植物を入れて、日本の種子植物相の全体をまとめた初めての植物誌となったことである。APGⅢ分類体系の配列としたことで、エングラー体系育ちの旧世代には目的の頁を探すのにひと手間かかる。単に、慣れの問題だから仕方ない。「いろは順」から「50音順」に変わった時も同じだったであろう。とにかく、APGⅢ分類体系への移行は一気に進むはずだ。
 図版の配置が巻末にまとめられた。旧版では、本文の近くに少しずつ配置されていて、見易い時もあったが、妙にずれることあった。私には新版の方が見易いようだ。
 学名のシノニムはほとんど省略され、分類上の異論がある場合のみ、イタリック体で示されている。図鑑としての性格上、仕方がないことだろうが、保育社の原色日本植物図鑑シリーズや牧野植物図鑑との異同を明確にするためには必要である。写真では良く解らない部分を図で見ることも多いので、原色図鑑や牧野図鑑の参照も欠かすことはできない。幸い、米倉博士のYLIist で参照できる。広島の植物ノートでも、両図鑑に用いられた学名は、なるべく載せるよう心掛けている。
 本来は、専門家向けの植物誌である Flora of Japan シリーズのⅣ巻(単子葉離)がとっくに出版されているはずだったが、予告アナウンスのみ改訂されている。こちらが、完成しないまま、一般向けの図鑑が先になってしまった。これは残念である。\

旧版の木本Ⅰに添えられていた「植物用語の図解」が新版1の最初に載せられている。5頁から8頁になったのは、個々の図を大きくしたためのようだ。\r\n残念なのは、用語が旧版そのままで、1990年に増訂となった「学術用語集 植物学編」に準じていない。15頁の果実の図で、シラカシが「堅果」となっているが、「殻斗果」または「どんぐり状果」とされるべきである、学術用語集の旧版では acorn とnut を区別せず acorn がなく、すべて nut に含めて堅果と訳していたが、現行の用語集ではnut とacorn を区別して、それぞれ、堅果と殻斗果(どんぐり状果)としている。
 広島の植物ノートも、新シリーズの見解を取り入れて、順次見直しを行う。科の配列については、広島県植物誌にあわせてエングラー分類体系を基本としているが、科の索引はAPGⅢ、50音順も使える。最近の見直しで、ページの下に、現在の科の隣りの科へ進むボタンを付けた。ここをAPGⅢの順序にしなかったのは旧世代への配慮である。

「広島県の山野草」

本編に、ハイノキ科、モクセイ科を追加した。\r\n\r\nまた、3月3日付けで、小池周司・浜田展也・武内一恵 2011. 広島の山野草 春編、が広島市の 南々社から出版されたので、本編の引用に加えることにした。本日までにイラクサ科からユキノシタ科までを加えた。以降、順次進める予定。
 小池周司氏撮影による写真は非常に良くできている。ただ、印刷インクが濃い目であり、赤青系の色調がかなり異なるように見えるものがある。
 略称については“山野草春”として、該当頁を示す。書名が「広島県の山野草」(比婆科学教育振興会編)と酷似していて紛らわしい。本編の引用では「広島県の山野草」の「県」を取り除いて「広島野草1、2」という略称にしていたので、困ってしまった。
 「広島の山野草」は、夏編、秋編が続く予定とのことなので、各巻の略称を“山野草春”、“山野草夏”、“山野草秋”とする。

野の草(渡辺増富、1989)

広島の植物ノート、および、その別冊(本サイト)を綴るため、広島の植物関係の書籍、論文別刷りを抜き出して手許に集めておいた。ところが、渡辺増富先生の図説「野の草 植物の形と心」が書棚の奥に仕舞ったままであった。105種の植物の姿が、巧みに描かれ、見て楽しく、読んでは膝を打つ。

著者の渡辺増富先生は、私の広島皆実高等学校時代の恩師であって、高等植物について、手取り足取り教えていただいた。本をいただいた1989年は、霞ヶ関に勤務していた時期。片道2時間の通勤ということもあり、山野からは遠ざかっていた頃だった。植物画を見て、文を読むと、広島で植物を学んでいた頃が目に浮かぶ。この時期は記憶力があったから、聞いたことは良く覚えた。中には聞き間違いも多くあった。その間違いの一つ一つも良く覚えている。

この図説を引用していなかったのは、全くもって、私の不注意。図版1のユキワリイチゲから、遡って引用に加え、今後も続ける。

あらためて書架を見ると、広島県植物誌をはじめ、多くの書籍を著者の先生方からいただいている。写真集や図説はできるだけ引用したい。レッドデータブックの、広島県の絶滅のおそれのある野生生物(1995、改訂2004)、広島県の自然と野生生物(1995)、 広島市の生物(2000)、については個別の引用を避ける。愛好(?)家による採取圧が最も大きな絶滅要因であることを考えれば、絶滅危惧種であることに言及するのははばかられる。

故渡辺泰邦先生の広島県の植物方言と民俗(2001)、故安藤久次先生の「山県草木誌」解説(1992)については、適宜、言及したい。

広島県植物図選Ⅰ~Ⅴ

井波一雄氏の描画による広島県植物図選Ⅰ~Ⅴをようやく入手したので、本編中に引用することにした。
 第Ⅰ巻が出版されたのが1981年、第Ⅴ巻が1990年である。第Ⅲ巻が発行された後の1986年に岩槻邦男先生が「植物分類地理」上で紹介されている。この頃、私は熊本に住み、九州の造林研究に携わっていた。広島へ帰ることができるかどうか不明であり、必要なときには何時でも入手できると考えていた。広島ならばすぐに購入できると考えたのは甘かった。やはり、気づいたときに求めておくべきである。タイトルに「広島県」と入っているため他地域では売れないのかも知れないが、図鑑として第一級のものである。
 「広島県の山野草」の2巻も全部引用することにした。あわせて、明らかな間違いと思われるものはその旨を書く。これは、同書の写真が良いからこそ可能となる。手ごろな図鑑としての価値が高まることを願っている。
 広島県植物誌より後に刊行された地域植物誌も全部引用すべきであるが、すべてに目を通すゆとりがない。「広島県東城町植物誌(2004)」は詳しく参照して、必要なものは落とさないようにしたい。
 昨年出版された、関太郎先生の「野の花ズームアップ(2009)」のうち、県内産の種類はもらさず引用する。他で見ることができない花や果実の拡大写真と要を得た記述は大いに役立つ。

イシモチソウ、キケマン

本編にモウセンゴケ科とケシ科を追加した。

広島県には、モウセンゴケが普通にある。花崗岩の山では、林道の明るい法面などで、岩の表面が濡れているような場所に見られる。根生葉は小さく、細い花茎が他の植物の間に伸びているので、写真に撮りづらい。そこで、別々の場所で撮影した葉と花の写真を組み合わせた。

残念ながら、イシモチソウの写真は手もとになかった。昔、賀茂台地の扇状地上のアカマツ林の林床に一面に生えていたのを見たことがある。そのような場所はほとんど無くなったようであるが、今でも、イシモチソウは珍しくないそうだ。私が当たらないのは、暑い時期に、日当たりの良い里山を避けているせいだろう。

広島県のキケマン類は、たいていフウロケマンで、キケマンは少ないようだ。図鑑(原色図鑑中、野生植物Ⅱ)のフウロケマンは花数が少なく、印象が違う。広島県のものはミヤマキケマンの形が多い。これらは、新しい見解では同じとされている。

「広島県の山野草-春・初夏-」の67頁にあるキケマンの写真を見ても、葉が三出複葉か羽状複葉か良く分からない。「野生植物Ⅱ」のPL.121-3も同様。こういう点でも、標本の有り難さが分かる。同書のまえがきにも、「撮影した植物はあとの確証のために標本にして持ち帰り、…」と書いてある。専門家であっても、写真だけでは、同定が困難ということだ。

また、自宅の近くの水田の石垣に生育しているものを観察していると、4月に開花したものが結実して枯れ、5月の半ばになって、再び葉と花茎を伸ばしたものは全く異なる印象だった。つまり、はじめはミヤマキケマンの形、後でフウロケマンの形になった。来春、詳しく確かめる必要がある。

本編にツバキ科、オトギリソウ科を追加

本編にツバキ科とオトギリソウ科を追加した。

昨秋、熊本・鹿児島県境の低山に入ったところ、サザンカの花が目立った。もともと、南九州常緑広葉樹林内には多いのだが、花は葉より上にあるので、落ちている花弁で開花に気づいたものだ。ところが、シカの食害で、低木や草本がなくなり、1~2mの高さの花がよく見えた。8年間の九州勤務でも経験したことがないほど多い。やはり、異常な雰囲気である。

オトギリソウ科の写真を検索して、ヒメオトギリとコケオトギリの区別に自信がなくなった。おしべの数が10本以上写ったものは見当たらない、苞葉の形も写真では分かりづらい、「原色図鑑中」の図と「野生植物Ⅱ」の写真では、逆のようにも見える。「新牧野図鑑」で図を探すと、「もともとは品種として認識」されていたらしい。そこで、「原色野草」を見る。さすがに、長田先生の精密な図は良く分かる。記述も明快だ。しかし、手元の写真のいくつかは、花がコケオトギリのようで、葉がヒメオトギリに見える。

「Flora of Japan 2a」では、なんと、両者の区別は困難とされ、「品種」レベルでもなく、「Variant」という「形」にされている。それにしては、「形」毎の記述は詳しい。オトギリソウ科の執筆者はN.K.B.Robson。オトギリソウでは品種を細かく分けているから、大まかに分類する主義ではなさそう。やはり、別種として区分するのは無理なのだろう。この見解に従うことにした。ところが、同書にはにはトモエソウが見当たらない。索引にも無い。Robsonは基準標本が明示されていないトモエソウについて、Lectotypeを選定した当人であるから、執筆漏れ(?)は腑に落ちない。