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特集-Ⅵ 早生樹造林で学んだこと


モリシマアカシアに騙された話(6)土地的極相の構成種

モリシマアカシアの原産地
 1996年6月、「持続可能な森林経営、モントリオールプロセス」の技術諮問委員会がオーストラリアのキャンベラで開催されたとき、エクスカーション担当者に、自分が Acacia mearnsii に関わっていたので、原産地の「本物」を見たいと依頼していた。ある日、「これがお前の研究したAcaciaだ」と教えられ、写真を撮ってもらった。場所が何処だったかも覚えていない。第一印象は、何ともしょぼいブッシュで森林ではなかった。葉を見ると確かにモリシマアカシアだ。私もずいぶん若く51歳、このジャケットは今でも着ている。

 原産地で注目を浴びることがなかったこの樹種が他国(特に東アフリカ)では旺盛に成長し、工業的タンニン原料、又は地域共同体の燃料材として、もてはやされた。Acacia mearnsii という学名も故国のオーストラリアではなく、移住先のアフリカに生育していた個体を基に記載されている。
 郷土以外でも生育が旺盛なため、現地の植生と競合、草本群落へ侵入し、自生種の生物多様性を減少させ、河畔帯の水分欠乏を増加させるなど、その土地本来のフロラを危機に追いやった。そのため、2001年には国際自然保護連合の「侵略的外来種ワースト100」に認定され、ならず者として国際的に注意喚起された。ただし、日本ではそのような問題を引き起こしてはいない。

 本来の自生地よりも、他の地域での成長が良いのは「土地的極相」を構成する樹種の特徴であり、スギ、ヒノキ、アカマツ等の造林樹種は皆同じ。モリシマアカシアは造林樹種としての要件を備えていることの証拠である。


オーストラリアのモリシマアカシア自然林、できの悪い子ほど可愛いという
左の大きな幹は別種である


原産地オーストラリアのモリシマアカシア


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