植物ノート本編へ   特 集 目 次   植物ノート 別冊へ 


特集-Ⅵ 早生樹造林で学んだこと


モリシマアカシアに騙された話(5)重い材

材の体積を測る
 バイオマス・プロジェクトを始めた頃、研究室に新採用の若者が来た。まずは研修。モリシマアカシアの試験地で「伐りつぶし」(現存量測定のための現場作業)を行い、研究室に葉・枝・幹のサンプルを持ち帰った。
 乾燥機に入れる前に、やっておくことがある。


モリシマアカシア材の容積重を測る

「幹の体積を測っておこう」
「新人君、ひもで吊るした幹を外の貯水槽に漬け、水中の重さを測って来て」
材木が水中に沈むとは思わないから、若干の時間がかかったが、以下の数値を得た(一部)。
    W1 g    W2 g   V c㎥   密度 g/c㎥
   940    120    820    1.146
   610     76    534    1.142
   236     27    209    1.129
   170     16    154    1.104
   116     11    105    1.105
   110     -5    115    0.957
    58     -3     61    0.951

 モリシマアカシアの生材の比重は1.0を超え、海水よりも重い。
 早成樹と呼ばれる樹種の多くは材が軽い。同じ生物生産量(乾重)に対して材積が大きくなるから、見かけの成長量が大きくなる。スギがヒノキや広葉樹より成長が良いと言われるのはこのため。
 燃料材やパルプ材の場合は、重量で取引されるから、重い方が輸送効率が良く、有利になる。熱帯でのパルプ用材生産では。ユーカリとアカシアが競っていたが、アカシアばかりになってしまった。チップの船舶輸送では重量より、体積が効率を決めるから、同じ重さで体積が小さいアカシアが好まれるという。

 もっとも、重過ぎることを忘れると悲劇につながる。
島で育ったモリシマアカシアが初収穫を迎え、製紙工場に運ぶことになった。しかし、大きな運搬船が無い。
「そうだ!筏に組んで曳航しよう。」  港まで運んだ材を束ね、筏を作り、連結した。
「さあ、運ぶぞ!」  筏を桟橋から海に落とす。
ドボン、ドボン、、、漁礁になった。
この話は、森林の物質生産で著名な大先輩のT氏から聞いた。

 バイオマス用の木材の評価基準は、大きさ、重さ、中味の3つだろう。どれも、ヘクタール・年当たりの収量が多いものが良しとされる。重量生産でみると、モリシマアカシアに限らず、樹種間の差はほとんど無い。トラック輸送でも、重い方が効率が良いだろう。この対極にあるのがモウソウチクやマダケ、現地でチップ化しないと、空気を運ぶことになる。
 中味というのは、化学成分の特異性。モリシマアカシアの樹皮にはタンニンが多く含まれるのでタンニン・アカシアの別名がある。同じプロジェクト研究の化学利用部門に提供したモリシマアカシアのタンニンは良質で、接着剤としても使えることが判明している。














 その(6)に進む    植物ノート特集の目次へ    植物ノート別冊へ    植物ノート本編へ