特集-Ⅵ 早生樹造林で学んだこと
モリシマアカシアに騙された話(3)肥料木?
「肥料木」というものがある。根粒や菌根で窒素固定を行う樹木を育てると、窒素分を多く含んだ落葉を供給するから、周囲の植物の成長が良くなるという説だ。
さすがに、この話は最初から信じなかった。窒素固定をすると周囲の植物にも好影響があるという話には、いつも、こう切り返す、「じゃあ、銀行の隣りに家を建てると金が貯まるのか? 現金を吸い上げられるのがオチではないか」、「おこぼれが頂戴できるのは、銀行強盗が金庫を爆破したときくらい」と。
マメ科植物は窒素吸収量が多く、固定した窒素分以上を要求する傾向がある。だから、マメ科植物に窒素肥料は欠かせない。養分を欠かすと、写真のようになる。ここは、モリシマアカシアの適地ではない硬質砂岩の立地に植林、手引き書通りに施肥をして成林させたもの。施肥が続けられなくなったところへ、三日三晩の大雨、土壌中の養分がすっかり流亡してしまった。アカマツならば耐えたであろうが、過保護の肥満児は耐えられず、枯死してしまったというわけだ。
実は、早成樹たるモリシマアカシアの造林を勧めた昔のパンフレットをよく読むと、冒頭には「やせ地でも育つ」とか「窒素固定できる」という文言があるものの、後半になると、「だから、肥料は欠かせない」とちゃんと書いてあった。私も、きちんと読んでいなかったのだ。よく調べてみると、かの中村賢太郎大先生も「肥料木を育てるのには肥料が必要」と書いておられる。
マレーシア(サバ州)での アカシア・マンギウム造林プロジェクトに派遣された時、タイやインドネシアでの実績から、「アラン・アラン(チガヤ)の草原でも良く育つ」と教えられていたが、モリシマアカシアの事実を学んでいたので、同じ間違いは繰り返さずに済んだ。
やはりというか、立地による成長の差が極めて大きく、10年で樹高20mにもなるところから、1mに満たないところまであった。同じオーストラリア原産ののユーカリも同じらしい。「
チガヤ草原でも良く育つ」というのは間違いではないが、チガヤ草原は決してやせ地ではない。本当のやせ地にはコシダ(日本のとは異なる)が疎らに生え、ウツボカズラの一種が見られる。つまり、「
チガヤ草原なら良く育つ」というべきなのだ。